状態監視により搬送システムの予期せぬダウンタイムを回避

エスカレーター、ベルトコンベア、モノレールコンベア、入庫・出庫機械といった搬送システムは、故障することがあってはなりません。適切な状態監視は不要なダウンタイムを早い段階で防ぎます。しかし、従来の振動解析はこうしたシステムの超低周波振動には適していません。ハーティングとFormsmedia GmbHは、新しい状態監視のコンセプトを考案し、すでに実証を済ませました。

搬送システムでの予期せぬダウンタイムは反復性があり、費用がかかり厄介です。自動車製造で使用されているモノレールコンベア搬送システムは、その代表例です。支持構造は重いコンポーネントや車体全体を運びます。全荷重はプラスチックでコーティングされた車輪にかかります。ある時点でコーティングが車輪から剥がれると、モノレールコンベアの車輪が損傷します。生産は中断されます。モノレールコンベアの修理は時間がかかります。

ハーティングとFormsmediaは、微弱な低周波振動を検出・評価する低速搬送システム用状態監視ソリューションを開発しました。
搬送システムの故障は全操業停止につながる可能性があります。MICA® エッジコンピュータに基づく状態監視システムは、早期に摩耗を検出し、予期せぬ故障を防ぎます。
センサーボックスとMICAは、過酷な環境で使用できるほか、EMC高負荷から保護され、保護等級IP 65/67に適合します。

モノレールコンベア輸送システムの状態監視もレトロフィットとして提供

高速エンジンやトランスミッションの振動解析は、約20年間信頼性の高い監視手段として実証されてきました。モノレールコンベアのような低速搬送システムでは、微弱な超低周波振動であるため、ミリG領域のはるかに繊細な振動解析が必要です。測定技術、パルスおよびデータ解析関連企業、Formsmediaは、ハーティングと共にこの要件に対応する監視ソリューションを開発しました:

  • 非常に高感度なセンサーボックスとMEMS加速度センサーは、搬送システムの動きを容量的に捉え、車輪の振動を検出し、ドライブのモーター電流と温度に関するデータを収集します。
  • センサーデータは収集され、割り当てられたModbus経由でハーティングのエッジコンピュータ MICAへ伝送されます。MICAは、Linuxベースのオペレーティングシステムと、Linuxコンテナで構成される仮想化アプリケーション環境を備える、ネットワーク接続可能で安全なミニコンピューターです。
  • 搬送システムの状態監視の場合、MICAはFormsmediaの解析ソフトウェアを使用し、現場でローカルに含まれるセンサーデータを集計、保存、可視化します。MICAは、現場で直接すばやくデータを評価するのに適しているため、不要なデータを伝送することはありません。
  • 高速フーリエ変換(FFT)を使用して振動スペクトルの解析と非調和的振動の評価も行います。
  • この状態監視システムは、低速のコンポーネント搬送システムにレトロフィットとして追加することも可能です。
  • 複数のシステムの状態監視を実行し、予知保全などの拡張機能を提供するため、データは上位レベルSCADA制御システム、またはクラウドベースのIoTプラットフォームに伝送されます。

困難な環境条件の状態監視

搬送システムの状態監視は、しばしば困難な環境条件下でセットアップする必要があります。こうした環境では十分なスペースがなく、ブリッジする距離が長く、粉塵、熱、湿度があります。センサーボックスとMICAは、過酷な環境で使用できるほか、EMC高負荷から保護され、保護等級IP 65/67に適合します。

設置するセンサーボックスとMICAを事前設定するため、すべての現地要件は概念実証に詳しく記録されています。センサーの取付も機械的適合性を確認済みなので、微弱な振動が確実に記録されます。Modbusチェックアウトプログラムを使用すると、試運転中にすべてのプリセット機能を現場でダブルチェックし、正しい測定範囲を確保できます。つまり、誤報を大幅に阻止できます。

環境によっては、MICAのゲートウェイ機能を使用して、事前処理済みデータをMQTTやOPC UAといった交換形式で上位レベルのITシステムに無線または有線で伝送することができます。MICAの無線バージョンをモノレールコンベア搬送システムに使用して、各移動搬送ラックのセンサー値を直接評価し、WLAN経由で伝送することができます。

早期の警告メッセージによりプラントのダウタイムを阻止

生産技術部が早めにメンテナンスニーズのメッセージを受け取るように、センサーデータ評価用に閾値を定義します。実際にModbus RTU(遠隔端末装置)経由でMICAに接続されたモニターの現場設置は役立つことが実証されています。 現在の特性値と重要システムの状態をモニター上に信号機能形式で視覚的に表示します。閾値を超過すると、選択された受取人にもアラームメッセージが送られます。さらに、現場の従業員がボタンに触れて、断線、誤作動、材料紛失といったイベントをMICAに送信することができます。つまり、センサーの値を実際の業務イベントに紐づけすることができます。

次のメンテナンスサービスの必要な時期を予想するため、状態監視ソリューションを拡張して、予知保全の機械学習を組み入れられます。クラウドサービスは一般に履歴と現行のデータの必要な解析のために使用されます。機械学習のアルゴリズムはこの目的で、車輪の振動、モーター電流の変動、およびドライブの温度現象に関して収集したデータを使用して、開発およびトレーニングされます。予知保全では、センサーデータの微妙な変化を例外として認識可能で、現在の状態についての結論に到達し、将来の状態について予測することができます。

予知保全といったテーマでは、データ解析分野で経験を持ち、アルゴリズム、規則、ダッシュボードをユーザの要件に合わせて個別に開発し、それを既存のコントロールシステムやERPシステムに統合できる専門のITシステム企業と協力して取り組むことを推奨します。MICA.networkは、この目的のためにハーティングがIT企業と共に設立しました。

短期で償却できる状態監視ソリューション

状態監視システムの導入費用を比較的早く回収できます。標準化された状態監視のコンセプトを採用しているため、計画、システム、設置コストが安く、システム運用者には大きなメリットがあります。つまり、重要コンポーネントの摩耗を早期に認識し、搬送システムの故障を回避することができます。これにより、システムの可用性と総合設備効率(OEE)が向上します。さらに、修理や必要に応じたメンテナンスが減るため、メンテナンス費用も低下します。最終的に顧客関連/使用分野のサービスが向上します。

さらに状態監視にはレトロフィットの面でも恩恵があります。デジタル監視を採用することで、古い施設を最新式にすることができます。それがなければ、製品ライフサイクルによってもっと頻繁になっていたであろうメンテナンスの回数を、実際に必要な回数に減らすことができ、設備の使用時間を伸ばすことができます。